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世界遺産で働いてみませんか? 富士山の山小屋で働いてみたメリット・デメリット

 勤めていた職場を退職して、まず最初にやってみたかったこと。それは、「世界遺産で働いてみる」ということでした。世界遺産で働くというポイントで考えた時に いわゆるリゾートバイトで世界遺産の観光地で働くことをまず考えて、いくつか候補を絞っていました。でも どうせなら ちょっと辺鄙な地で働きたいなと思っていた そんな時に山小屋で働いてみようと思い立ち、学生時代に1度登ったことのある富士山で働きたいなと思い、連絡してみることにしました。

富士山で働くためには

   富士山には4つの登山口と登山ルートがあり、全部で50軒以上の山小屋があります。その中から 働きたい山小屋を1つに絞るのが難しかったので、学生時代に富士山に登った時に宿泊した山小屋に応募してみることにしました。

 わたしが働きたいと思った山小屋は吉田ルートにある白雲荘という山小屋でした。調べてみると、吉田ルートにある山小屋のバイトの募集は富士山吉田口旅館組合を通して応募して 採用になっても 吉田ルートにある どの山小屋に配属になるか分からないとのこと。

www.mtfuji.jpn.org

 

 せっかくなら自分が決めた山小屋で働きたいなと思った私は、山小屋に直接電話してみることにしました。電話にて 働きたいと思っていることを相談すると、そのまま その電話で採用していただくことに。次の就職先(といっても3ヶ月ほどのアルバイト)が決まったわたしは 、職場に退職することを伝えました。わたしの自由人生活は、この山小屋生活から始まったわけですが、とっても素敵なオーナーご夫婦で 次の年もアルバイトとして雇っていただいて2年間お世話になりました。

fujisan-hakuun.com

富士山バイトの1日のスケジュール

 富士山のアルバイトは基本的に休日はありません。お休みを希望したり、病気になって休息が必要になったり、台風で営業ができない場合を除いては 毎日お仕事になります。

 働く期間は要相談ですが、富士山吉田口旅館組合には30日以上勤務できる方が募集要項として記載されています。最初の年は 6月の末まで もともとの職場で勤務していたので、7月10日から最終日である9月上旬まで、2年目は小屋開きである6月下旬から9月上旬まで働きました。

 1日のざっくりとしたスケジュールは、朝6時までには仕事が始まるので、5時ごろには起床し 軽く身支度を整えて 朝食を済ませます。早起きできた日は、外に出て ゆっくり朝日を楽しみます。朝食は、起きた人から順にみんなで いただきます。最初の仕事は、布団直しといって お客さんが寝た布団を掃除して元に戻す作業からです。富士山では、天気の都合と合わせてオーナーの指示で布団干しも行いますが、何百組もある布団を1日で干すことはできず 今日はここまで、次回はここからと分担して行います。

 布団直しが終わったら、宿泊者のお弁当の準備です。ほとんどの人が、翌日 ご来光を頂上で見るために真夜中に山小屋を出るので、予約時に注文があった場合はお弁当を準備します。お弁当の内容は山小屋によって違って、わたしが お世話になった白雲荘では稲荷寿司と太巻き、お漬物、パックのお茶でした。平日でも1日少なくても200〜300人、休日であれば600人以上の宿泊予約があるので お弁当の準備にも時間がかかります。

 

 お弁当の準備が終わった頃に、1度10分ほどの休憩があります。そこから、また お掃除や従業員の昼食準備、電話対応などに加えて その時その時に舞い込んでくる仕事をこなしていきます。昼食を食べたら、お昼休憩です。その日の忙しさによって、1時間半から2時間半ほどを代わりばんこで取っていきます。わたしは、雨が降ってない限り この休憩時間に毎回 山頂まで遊びに行っていました。雨の日は、本を読んだり 他のバイト仲間とおしゃべりしたり、お昼寝したりして過ごしました。

 休憩が終わったら、宿泊者の夕飯準備と従業員の夕飯作りにとりかかります。夕飯も山小屋によって違うので、食べたいもので 宿泊する山小屋を選ぶのもいいのですね。白雲荘では、ハンバーグカレーを夕飯として提供していました。

 早めの夕飯を済ましたら パラパラと宿泊者が到着し始めるので、それぞれ寝てもらうスペースに案内して、夕飯と翌日のお弁当を提供し、食べ終わったら片付けての繰り返しです。ここに、体調不良の人のお世話、売店での販売、焼印の対応などなど細かな仕事が入っていく感じです、ある程度 予約している宿泊者が到着したら オーナーの判断で その日の勤務は終了となります。

 わたしは 日勤の勤務だったのですが、夜に到着する宿泊者の方もいるし 頂上でご来光を見るためには夜中に山小屋を出発することになるので 夜勤の勤務もあります。日勤になるか夜勤になるかは、ある程度 希望も聞いてもらえるかとは思いますが、最初にオーナーさんが割り振ってくれます。日勤の方が人数も多く、生活リズムも崩れないので 個人的には日勤の方がおすすめです。

 仕事終わりに元気があれば、また頂上まで散歩することもありましたし、他の山小屋の焼印を集めるのに出かけたり、本を読んで眠りについたり 過ごし方はいろいろです。

富士山の山小屋で働いてみて思ったメリット

 まず、大きなメリットは お金が貯まるということです。住み込みなので家賃もかからないし、3食ついているので食費もかかりません。山の上にいるので、コンビニやスーパー、本屋も何もないので お金を使うことが ほぼありません。今は、わたしが働いていた時より日給も上がっているの 最初から最後まで働けば100万円近く稼ぐことができると思います。

 

 わたしが、富士山で最初に働いたのは 自由人になってすぐのことだったので、5年以上前のことになりますが、今でも連絡をとって会える友達ができたことも良かった点だと思います。数ヶ月、共同生活を共にして一緒に仕事をするので その人となりを よく知った上で友達になっていくので、長い間友達として関係を維持できるんだと思います。

 そして、普通に生活していると なかなか出会えない人達にも出会えます。なかなか普通の人で富士山の山小屋でアルバイトをしようという人も珍しいと思うので、変わった発想だったり、経歴を持った人達に出会えるので 話を聞くのも楽しかったですし、今後についての未来も広がって楽しかったです。

 富士山で働いていなかったら見えない景色を毎日 楽しむことができます。富士山は、朝日だけでなく夕日も すごく綺麗です。その日 その日で雲の動きなども全く違うので、毎日 違う富士山からの絶景を楽しむことができます。

富士山の山小屋で働いてみて思ったデメリット

 アルバイト中は こっそり隠れてお酒を楽しむこともできましたが、基本的には禁酒という約束があります。お酒が大好きで毎晩たくさん飲むという人には 厳しい環境かもしれません。

 わたしが、一番辛かったのは 食べ物です、山の上で食べられるものには限りがあります。野菜もあるけれど、日持ちのする根菜類やイモ類などが主で、あとは缶詰や乾燥食品など。休憩時間などに お菓子も提供してくれて、すごく有難い環境だっと思います。ただ、食べるのが大好きなわたしは 食の自由がないことが結構しんどかったです。友達が山小屋まで遊びに来てくれる時に、食べたい物を頼んで 持ってきてもらったりしました。

 あと、山小屋でアルバイトをしたいなと思っている人が気になるのがお風呂事情だと思います。山小屋にとって水はとっても貴重で、毎日 お風呂に入ることはできません。基本的には1週間に1回 入浴できたら いい方です、山小屋では雨水を貯めて濾過したものを使用しているので 雨が降らなければ2週間近くお風呂に入れないこともありました。ドライシャンプーや、体を吹くためのウェットシートなどを持っていくといいかと思います。山の上は夏でも涼しく、汗をかくこともないので毎日お風呂に入れなくても どうにかなりますが、さすがに2週間近くお風呂に入れなかった時は頭皮がピリピリしました。

 これは、メリットとしてあげたことでもあるのですが、数ヶ月におよぶ共同生活 朝から晩まで一緒にいるので、互いの良いところも 悪いところも丸見えなわけで 折り合いがつかない時もあります。すごく苦手な人ができてしまった時は、心地よい労働環境とは言えないでしょう。そして、限られた人たちでの共同生活なので 男女の恋愛に発展することもあります。わたしも1年目の時に同じアルバイの彼氏ができましたが、次の年には別れていたのに2人ともアルバイトとして同じ山小屋で働くことになったので 気まずさはありました。わたし達の他にも何組も恋愛に発展している 関係を見ましたが、結局は長続きしません。山小屋のアルバイトでは本気で恋愛しない方がいいのかなと思います。

 

まとめ

 それまで、大学を卒業してから1つの職業にしか就いたことのなかった わたしには、色んなことが新鮮で、すごく良い経験になりました。限られた環境の中で、逞しくもなれたと思います。山小屋によってルールや1日の流れも全然違うと思うので、一概には言えませんが わたしはとってもおすすめできる貴重な体験でした。

 ちなみに、2年続けて働く場合は 経験がある分 日給をあげてくれる配慮もあるし、お盆や祝日など とてつもなく忙しい日をやり過ごした翌日にはオーナーから「頑張ってくれてありがとう。」と お小遣いをもらえたりすることもありました。人間的にとても魅力的なオーナー夫婦で、おかげで上下関係によるストレスなく働くことができました。

 転職の合間や、せっかくなら違うことをやってみようと思い立った方、大学の夏休みなどの長期休暇に富士山で働いてみるというのも選択肢の1つとして ぜひ検討してみてください。