まさか私がね。

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お忘れなく カナダはクマの国! もしクマに襲われた時にあなたは正しく対処できる?

 タイトルにある "カナダはクマの国” というのは、クマに襲われて荷物も全部置いて逃げてきたときに、ヒッチハイクで乗せてくれた男の人が話してくれた言葉です。実際にその人は、カナダのアラスカに近い森の中で働いているそうで、いつもクマに襲われる危険とは隣り合わせなのかもしれません。野生のクマを初めて本当に間近で見て、必死に逃げてきた後に重みのある言葉でした。

 

 カナダで野生のクマを2度 見かけたことがありますが、どちらも運転中に車内から見たことしかありませんでした。その時は、クマって可愛いなぁと呑気なことを思っていました。今もクマが可愛いと思う気持ちに変わりはありませんが、可愛いだけではないということも身をもって知っています。

 わたしがユーコン川でクマに襲われた話しはこちらから。

tttripppmmmihooo.hatenablog.jp

知識を持とう

 まずは、クマについての知識がなさすぎたことを反省しました。ガイドブックに載っているような "熊への安全対策” については目を通していましたが、目を通しただけで実際に知識として備わってはいなかったと思います。実際にクマに襲われた時も、こうゆう時どうしたらいいんだっけと頭の中はパニックでした。もちろんクマはぐんぐん迫ってくるので 冷静に考える時間の余裕もありません。しっかりと知識として身についていれば、もっと落ち着いて行動できていただろうなぁと思います。

 環境センターで働く人からは、わたし達がクマに対して取った行動は間違っていなかった と言ってもらったのですが、その言葉を聞くまでは もしかして間違った行動をしてしまったかもしれないと ずっと思っていました。それだけ曖昧な知識だったということです。

 

 

 

 わたし達が、その日 クマに遭遇することとなった場所は ユーコンの川下りのMapに Good HW Camp と記されている場所でした。わたしは、Good HW Campと記されている以上 クマの縄張りではなくクマが出現する確率は低いんだろうなぁと勝手に認識していましたが、クマは常に縄張りを変えるそうで Good Campと記した当時に縄張りでなかったとしても その後に縄張りになり得るそうです。誰かがその場所に泊まっていた形跡も残っていたので、安全な場所なんだろうと勝手に思い込んでいました。

 クマご近くにいるかもそれない形跡が火を焚くために囲んだ石の上に残っていたのですが、わたしは それがクマがいるかもしれないサインということに気がつきませんでした。そのサインは ビーバーの牙のようなもの。キャンプ場から川を眺めているとビーバーの家族が懸命に巣作りしているのが見えて、ビーバーが病気か何かで亡くなってしまって カヌーで川を下っている人が供養してあげたものだと勝手に思っていました。

 後から「Klondike Canoeing Rentals」のオーナーの櫛田さんに、そのことをお話すると それを見つけていたらプロなら そこにテントは張らないと話してくれました。そのビーバーの牙はクマがビーバーを食べたあとの死骸から残ったものではないかとのこと。また テント場の近くにビーバーの家族がいるのを見かけたのなら、クマが近くに生息しているかもと考えて その場所は避けるそうです。もし、わたしが そういう風に考えて回避できていたら、今回のようにクマに遭遇しないで済んだかもしれません。

 またクマの好物の1つにブラックベリーがあるそうで、ちょうど わたし達が川下りをしていた8月の終わり頃から実り始めるそうで、クマがブラックベリーを求めて 歩き回ることがよくあるんだそうです。クマが冬眠に入る前の9月の終わりぐらいになったら栄養や脂肪を蓄えるために 活発になるのは知っていましたが、ブラックベリーについては知りませんでした。

 今やインターネットからでもクマに遭遇した時の対策方法は山のように出てくるので、それらをしっかり読んで、実際にクマに遭遇することがあるかもしれないという緊張感を常に持ち もしもクマに遭遇した時のイメージトレーニングをしておくことが大切だと思いました。あとは、実際にクマに襲われた人の話を読んで、どういう状況だったのか どう対応したのか その実際について知ることも大切だと思いました。わたしも クマに襲われた後に そういう話をいくつか読みましたが、無事に生きている人もいれば、悲惨な死を遂げている人もいました。カヌーで川下りをする前には危険な目にあった話は怖くなるから読みたくないと思っていましたが、たくさんのリスクが自然にはある ということを もっともっと知っておくべきったなぁと後悔しました。

 

 

 

準備をしよう

 わたしがクマについて準備したものといえば、ベアスプレーと食料を保管するバレルぐらいでした。バレルは食料を保管するための樽のような容器で、食べ物の匂いを出さない造りになっているもので、カヌーを借りたショップでレンタルしました。

 ベアスプレーも、同じくカヌーショップで50ドルほどで買いましたが、カナダではWalmart などのホームセンターでも取り扱っています。主な成分は唐辛子などから抽出した辛味成分から作られているそうです。実際に、私は クマが走ってきたときにスプレーを手に持っていましたが、ベアスプレー を使うより何より足が先に動いて高台から落ちるように逃げていました。もしその時にスプレー を使っていた方が良かったのか今でも わかりません。とはいえ、無事に帰ってこれたことに変わりないので 本当に良かったです。

 これは単にわたしの失敗談なのですが、クマに襲われて逃げて帰って来た後も恐怖からか常にベアスプレーをポケット入れて持ち歩いていました。カヌーを取り戻す手配を進めるなかで、「Tage Cho Hudan Interpretive Centre」という施設の方がユーコンの環境管轄センターに連絡を取ってくれて、センターの職員が来てくれるまで施設の中で待たせてもらことになっていたのですが、トイレに行こうと立ち上がった時にスプレーの缶がポケットから床に落ちてしまい、その勢いで安全装置が外れてほんの少しだけスプレーが噴出されてしまいました。本当に本当にほんの少しだけだったのですが、途端に喉が締めつけられて息ができなくなって、瞬く間に館内全域に広がり目を開けることもできなくなり、館内にいた方全員が外に避難しました。

 

 

 

 

  もう本当にとんでもないことをしてしまったのに、施設のスッタフさんもお客さんもアクシデントなんだから仕方ないよ と優しく声をかけてくれて、本当に感謝と申し訳なさでいっぱいでした。クマスプレーって本当に効果があるのかなぁとか少し疑いながら持ち歩いていましたが、ほんの少しですごい威力を持っているのを身をもって知って、もしかしたら凶器にもなり得るかもしれないものを持ち歩いているという自覚をもっと持つべきだった と後悔しました。もし実際に使う機会があったとしたら、自分にもスプレーの威力が降りかかるということも十分に念頭においておかなければいけないとも学びました。

 わたしが 後で現地の人に聞いた話によると、その辺りのクマはクマベルみたいな音では驚かないそうで、むしろ食べ物を探している凶暴なクマだった場合は 物音を聞いて偵察に来るかもしれないんだそうです。ホームセンターにクマベルよりも威嚇するような音が出せるホイッスルが売っているそうなので、それを持っておくと良かったかもと教えてくれました。

まとめ

 今回のことはわたしの体験談として、誰かの身を守るために繋がればと思い記事にしました。もしユーコン川の川下りやカナダでの生活を考えている人がいれば、この記事をきっかけにクマに関する情報に目を通して、まさかの時に備えてもらえれば本望です。

 カナダにクマがいること、ましてやユーコン川にクマが生息していることを知っていたはずなのに、自分にはクマに出会うハプニングなんて起こらないだろうと高を括っていたのだと思います。無事に戻ってこれて何よりでしたが、結果オーライで流すのではなく、自分の自然に対する甘さを知ったうえで教訓としたいと思う大きな出来事でした。

 長くなったユーコンの川下りに関する記事もこの大きな教訓で終わりにしようと思います。